祖母と私をつなぎ続ける宝塚歌劇

私の趣味のひとつが宝塚観劇です。
ライトだったりディープだったりする期間がありますが、かれこれ30年くらい付かず離れずの関係が続いています。

実は私の祖母も宝塚ファンでした。
もう亡くなっていますが、生きていたら今年で96歳。
宝塚が今年105周年を迎えましたが、祖母は大正3年にできた宝塚の初期のファンだったんです。

子供の頃の祖母と私

今回は宝塚が深めてくれた祖母との想い出についてです。

戦前のヅカオタ。おばあちゃんと宝塚。

祖母から聞いている戦前の宝塚。
温泉保養地である宝塚にある歌劇団は、祖母が女学生の頃にはすでに今と同じく日々華やかな舞台が繰り広げられ、ファンはスターに熱い応援をしていたようです。

祖母は大阪の船場の生まれ。商人の街で、自身の家庭も周りの友人も金銭的に余裕のある状況だったようです。
勉強が好きではなかったという祖母はちょっと派手なグループに所属していたようで、そのお仲間とつるんで観劇に通っていたとのこと。
親から教科書を買うようにもらったお金で観劇してしまって怒られたなんていうエピソードも聞いたことがあります。
だいぶやんちゃな女学生だったようですね。

今より自由でゆったりとして時代だったのでしょう。
憧れのスターさんのご自宅を訪問し、ご本人は留守で手土産をお母様に渡したという今ではありえない話もしていました。

私と宝塚

とはいえ、私が宝塚を好きになったのは祖母の影響ではありませんでした。
たまたま小学校6年生の時に、クラスメイトと『ベルサイユのばら』の漫画の話をしていました。『ベルばら』が大好きだった私は、その子の従姉妹がはまっているという宝塚での舞台の映像を借りたんです。
天海祐希さんがアンドレを演じたベルばらでした。
それが初の宝塚。かっこいいなとは思ったけれど、当時はハマるほどではありませんでした。

それなのに、その後数年して、NHKで放映していた宝塚の映像をみてハマってしまったんです。何故なのかはよく覚えていませんが、その時初めて宝塚のショーというものを知りました。
お芝居ではなく、歌やダンスで場面が繋がれていくショー。これがものすごく楽しかった。
そこからNHKや民放で放送される番組を録画しまくり、擦り切れるほどみる日々が始まりました。宝塚が出している月刊誌『歌劇』と『グラフ』も読み漁りました。

でもだいぶ長いこと生の舞台は観たことがありませんでした。
中高生の私には劇場は遠かったし、チケットの取り方もわかりませんでしたから。

大劇場での初観劇!さらには初出待ちも!

私の初観劇は結局大学生になってからでした。
この頃には姉妹ですっかりヅカファンになっていたのですが、祖母とも宝塚の話をするようになっていました。
それで、祖母が一緒に観劇すべくチケットを取ってくれたのです。
祖母はずっと関西に住んでいましたので、本拠地である宝塚大劇場に行きました。
演目は『WEST SIDE STORY』。今調べたら1999年だったようです。なんと20年前!

そして、実は初観劇よりも前に、初の出待ちも祖母と一緒でした。1996年のことです。
初の出待ちなのに、単なる出待ちではなく、トップスターの退団の日の出待ち・・・。(ちなみに一路真輝さんの退団公演で、演目はその後、宝塚の代表的な作品となる『エリザベート』の初演でした)
今考えるとそんな特別な日に、初めて出待ちする素人がよくいられたものです(汗)
この出待ちはなかなかスリリングな体験だったのですが、長くなるのでまた後日。

祖母とのつながりを深めてくれた宝塚

大学生〜社会人にかけて、もう自由に動けるようになっていたこともあり、よく祖母の家に行っていました。
早くに夫を亡くし一人暮らしをする祖母の家に行くことは、両親も喜んでくれました。そして、私と妹は祖母の家に行くイコール宝塚に近づけるということだったんです。

関東のヅカオタにとっては、関西というだけで少し特別な感じがあります。阪急電車に乗ってポスターが貼ってあるのをみたら、それはもうテンションが上がります。
観劇予定がなくても宝塚の街に行ってうろうろするだけで楽しい。そんな可愛いファン時代でした。

宝塚好きの祖母は、子供の私にメイクをしてくれることがありました

同じ趣味を得ることで、祖母とのつながりが格段に強まりました。
それまでは父方の祖母だったので、母方よりも関係が希薄だったのですが、会う機会も増え、また会話も過去の宝塚から現代の宝塚まで、まるで友人同士のように会話ができます。
祖母が亡くなる数年前まで、こんな関係が続きました。

宝塚は私に色々なものをくれました。宝塚のなかった人生はもはや考えられないくらいに。
祖母との想い出も、その一つとして忘れられない幸せな記憶です。
そして、今も宝塚を観ると時々、おばあちゃんを想い出すのです。